健康保険の給付

社員とその家族が業務以外で病気・ケガになったり、また出産や死亡した場合に、健康保険では医師の診療を提供したり、各種の給付金を現金で支給します。どのような場合に、どのような給付が受けられるのか、詳しくお知らせします。

健康保険の給付について

保険給付の対象

社員本人とその家族が業務以外で病気・ケガになったり、また出産や死亡した場合に、健康保険では医師の診療を提供したり、各種の給付金を現金で支給します。こうした診療の提供、給付金の支給を保険給付といいます。

健康保険給付の対象となるのは、加入している社員本人と、その家族です。社員とその家族が病気やケガをしたときに、健康保険給付を行います。

法定給付と付加給付

健康保険法で定められた給付を法定給付といいます。これは、すべての健康保険組合に共通するものです。また、法定給付にプラスして、アルプス電気健保独自の給付があります。これを付加給付といいます。

付加給付と医療費助成制度

健保組合からの付加給付と自治体などの医療費助成が重複する場合は、健保組合と自治体で調整しています。
自己負担額に自治体などの医療費助成がある場合は、速やかに健保組合にご連絡をお願いいたします。
重複受給が確認された場合は、付加給付分をご返金いただく場合があります。

現物給付と現金給付

健康保険の給付には、医療サービスなどを現物給付するもの(療養の給付など)と、給付金など現金給付するもの(傷病手当金など)があります。

医療費の自己負担について

年齢による負担割合

社員本人が業務外で病気やケガをした場合、健康保険取扱医療機関へ出向いて「保険証」を提示すると、窓口で医療費の一部を自己負担すれば診療が受けられます。これは外来・入院いずれも同じです。残りの医療費は、健康保険組合が負担します。
家族の場合も「保険証」を提示すれば、医療費の一部自己負担で診療が受けられます。残りの医療費は、健康保険組合が負担します。

70歳未満の方の場合

社員本人が業務外で病気やケガをした場合、医療機関へ「保険証」を提示すれば、医療費の3割の自己負担で治療が受けられます。残りの医療費の7割は健康保険組合が負担します。これを「療養の給付」といいます。
家族の場合も「保険証」を提示すれば、小学校入学以降~70歳未満の方は医療費の3割を負担。小学校入学以前は2割を窓口で支払えば、残りの医療費は健康保険組合が負担します。これを「家族療養費」といいます。

一部負担還元金/家族療養付加金

アルプス電気健康保険組合では、「療養の給付」の付加給付として「一部負担還元金」があります。家族の場合は「家族療養付加金」が給付されます。
1カ月の1件の医療費自己負担額(高額療養費は除く)が一般所得者は25,000円以上、上位所得者は50,000円以上になった場合、その超えた額を健康保険組合が負担します。
同じ病院が発行した処方箋(通院のみ)で、調剤薬局で薬をもらった場合の薬剤費も含まれます。
なお、最短で受診月の3カ月後に社員は給与口座に、任意継続被保険者は指定口座に自動的に振り込まれます。

70歳以上75歳未満の方の場合

70歳以上75歳未満の方が病院などを受診する際は、保険証とともに「健康保険高齢受給者証」を医療機関の窓口に提示してください。70歳以上75歳未満でも、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の対象になっている方(一定の障害がある65歳以上の方)は除きます。負担金割合は2割になります。ただし、「現役並みの所得がある方」とその被扶養者は、3割負担になります。一部負担金の割合は、高齢受給者証に表示されています。

75歳以上の方の場合

75歳以上の方、および65歳~74歳で一定の障害がある方は、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者となります。医療機関窓口での負担は、一般の方は1割です。一定以上の所得者のいる世帯では、3割負担となります。
詳しくは、お住まいの市町村の健康保険窓口へお問い合わせください。

年齢別/医療費自己負担
義務教育就学前の乳幼児(6歳で小学校入学前の3月まで)
外来 医療費の2割
入院 医療費の2割+入院時食事代の一部負担
小学校入学以降~70歳未満
外来 医療費の3割
入院 医療費の3割+入院時食事代の一部負担
70歳~75歳未満(現役並み所得のある方を除く)
外来 医療費の2割
入院 医療費の2割+入院時食事代の一部負担

※「現役並み所得がある方」は、外来・入院とも3割負担

75歳以上(一定の所得のある方を除く)
外来 医療費の1割
入院 医療費の1割+入院時食事代の一部負担

※「現役並み所得がある方」は、外来・入院とも3割負担

保険外併用療養費制度について

健康保険が適用されない保険外診療があると、保険が適用される診療も含めて医療費の全額が自己負担となります。
ただし、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定医療」については、保険外診療を受ける場合でも保険診療との併用が認められています。通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料など)の費用は、一般の保険診療と同様の扱いです。その部分については社員本人が一部負担金を支払い、残りの額は「保険外併用療養費」として、健康保険組合から給付が行われます。
また、家族の保険外併用療養費にかかる給付は、「家族療養費」として給付が行われます。

評価療養
  • 先進医療
  • 医薬品の治験に係る診療
  • 医療機器の治験に係る診療
  • 薬価基準収載前の承認医薬品の投与
  • 保険適用前の承認医療機器の使用
  • 薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用
選定療養
  • 特別の療養環境の提供
  • 予約診療
  • 時間外診療
  • 200床以上の病院の未紹介患者の初診
  • 200床以上の病院の再診
  • 制限回数を超える医療行為
  • 180日を超える入院
  • 前歯部の材料差額
  • 金属床総義歯
  • 小児う蝕の治療後の継続管理

「患者申出療養制度」とは

平成28年4月から、「患者申出療養制度」が始まりました。これは、患者が望む新薬などをいち早く使えるようにする制度です。
国内で未承認・保険適用外の医療機器・医薬品について、患者の希望に基づき臨床研究の拠点となる病院などと相談したうえで、病院が実施計画を作成。安全性・有効性を証明できる論文などとともに、国に申し出を行います。この申し出を受けて、国は医師などの専門家から構成される「評価会議」で、原則として6週間以内に、安全性や有効性、実施計画の内容などを審査します。承認された場合は保険適用診療と組み合わせて、保険適用外の診療が可能となります。医学的判断が分かれた場合などは、全体会議を開催して審議するため、6週間を超える場合もあります。

治療は、申し出をした臨床研究中核病院または特定機能病院で行うのが基本です。
ただし、最初に患者のかかりつけの医療機関を協力医療機関として申請しておくと、かかりつけの病院等でも治療が受けられます。

健康保険が使えない場合

健康保険の給付は、業務外のことで生じたけがや病気に対して行われます。ただし、健康保険が使えない診療もありますので、ご注意ください。

保険診療以外のもの
  • 保険のきかない治療や薬
  • 入院時の差額ベッド料
病気とみなされないもの
  • 単なる疲労や倦怠
  • 美容目的の整形手術や歯列矯正
  • 日常生活に支障のないアザ、ホクロなど(治療を要するものは保健使用可)
  • 健康診断、生活習慣病検査、人間ドック、予防注射、予防内服
  • 正常な妊娠・出産
  • 経済的理由による人工妊娠中絶

健康保険の給付が制限される場合

健康保険制度の健全な運営のため、保険給付が受けられなかったり、給付の一部が制限されたりする場合があります。

  • 故意に事故を起こしたとき
  • けんかや泥酔などによる病気・ケガ、事故を起こしたとき
  • 詐欺または不正な行為によって給付を受けようとしたとき
  • 正当な理由なく、医師の指示に従わなかったとき
  • 健康保険組合が指示する質問や診断などを拒んだとき