子どもが生まれたら 産科医療補償制度

「産科医療補償制度」は、出産時になんらかの理由で赤ちゃんが障害を抱えた場合、赤ちゃんとそのご家族を支える補償制度です。

制度のあらまし

制度の目的

産科医療補償制度は、産科医不足の改善や産科医療提供体制の確保を背景に、より安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、以下の目的で創設されました。

  • 目的(1) 分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児とその家族の経済的負担を速やかに補償します。
  • 目的(2) 脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供します。
  • 目的(3) これらにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ります。

医療(分娩)機関が加入する制度

この制度は、まず医療(分娩)機関が制度に加入します。
妊産婦の方は、制度に加入している分娩機関でお産をして一定の基準を満たした場合に、補償の対象となります。
制度に加入している分娩機関では、妊産婦の方にこの制度の対象者となることを示す「登録証」を交付します。母子手帳とともに、大切に保管ください。

補償について

補償の対象

この制度に加入している分娩機関において生まれた赤ちゃんで、次の条件をすべて満たす場合に補償の対象となります。
2015年1月1日から2021年12月31日までに出生した場合、2022年1月1日以降に出生した場合とで、補償対象基準が異なります。

  • 対象となるお産は、「産科医療補償制度」に加入している施設でのお産です。
    お産前に、制度加入医療機関かどうかを必ずご確認ください。
  • 補償の対象は、通常の妊娠・分娩にもかかわらず、一定の基準による脳性麻痺となった場合とします。
  • 補償請求者(保護者)が分娩機関に対して補償請求を依頼できる期間は、お子さんの満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までです。
    ただし、極めて重症であって、医師が診断可能と判断する場合は、生後6カ月から可能です。

対象となる基準

2015年1月1日~2021年12月31日までに出生した場合
  1. 在胎週数32週以上かつ出生体重1,400g以上、または在胎週数28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たして出生したこと
    ※在胎週数の週数は、妊娠週数の週数と同じです。
  2. 先天性や新生児期の要因によらない脳性麻痺であること
    ※この他、お子様が生後6カ月未満で死亡した場合は、補償対象としていません。
  3. 身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であること
    ※補償申請の時点での手帳の取得の有無は、審査の結果には影響しません。
2022年1月1日以降に出生した場合
  1. 在胎週数28週以上であること
    ※在胎週数の週数は、妊娠週数の週数と同じです。
  2. 先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺であること
    ※この他、お子様が生後6ヵ月未満で死亡した場合は、補償対象としていません。
  3. 身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であること
    ※補償申請の時点での手帳の取得の有無は、審査の結果には影響しません。

補償の内容

補償の請求は原則として、脳性まひの正確な診断が可能な満1歳の誕生日から、満5歳の誕生日までの間に申請することができます。
また、診断が可能な場合は、生後6カ月以降でも申請が可能です。
この制度の補償対象に認定されると、看護・介護のため、一時金600万円と分割金総額2,400万円(20年にわたり毎年120万円)、計3,000万円が補償金として支払われます。

対象とならない基準

以下の原因で発生した脳性麻痺は、補償制度の対象となりません。また、生後6カ月未満で亡くなられた場合は、補償対象となりません。

  1. 先天性の要因(遺伝子異常など)
  2. 新生児期の要因(分娩後の感染症など)
  3. 妊娠もしくは分娩中における妊産婦の故意または重大な過失
  4. 地震、噴火、津波等の天災または戦争、暴動などの非常事態

健康保険組合の給付

「産科医療補償制度」により、制度加入医療機関の負担費用分を健康保険組合が加算して、出産育児一時金として社員のみなさんやご家族へ給付します。
この加算によって、「産科医療補償制度」に伴う妊婦の方の経済的な負担はありません。

加算される産科医療補償制度の付加金

  • [2015年1月1日~2021年12月31日までに出生した場合] ⇒ 1万6000円/1分娩(胎児)を加算
  • [2022年1月1日以降に出生した場合] ⇒ 1万2000円/1分娩(胎児)を加算

[該当条件]

以下のすべてに該当する必要があります。該当しなければ、加算金の給付はありません。

  • 「産科医療補償制度」に加入する医療機関での出産であること
  • 妊娠22週以降(死産も含む)の出産であること

申請の手続き

出産育児一時金等の申請用紙に、「産科医療補償制度」に加入している医療機関から発行される領収書、または請求書の写しを添付して、各事業所の健康保険担当者へ申請してください。

  • 制度に加入している医療機関からは、制度加入を証明する印を押印した領収書または請求書が発行されます。
    (上記[該当条件]を満たさない出産の場合は、領収書・請求書の写しの添付は不要です)
  • 産科医療補償制度加入の医療機関については、下記ホームページをご参照ください。
    (2023年3月22日現在、99.9%の医療機関が制度に加入しています)