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2024年02月07日

大病院の「特別の料金(選定療養費)」が改定されました。

街には診療所や総合病院、国公立病院、大学病院など様々な医療機関があります。私たちは、日常の体調不良や軽いケガでは身近なクリニックなどを受診、入院や手術が考えられる場合は、最新の設備がある大きな病院を受診するなど、その時々で医療機関を選んでいます。
そうしたなかで一部の病院に外来患者が集中し、患者の待ち時間が増える、勤務医の外来負担が重くなるなどの課題が出ています。そのため国は一定規模以上の対象となる病院では、紹介状を持たずに外来受診した患者などから、一部負担金(3割負担など)とは別に、「特別の料金(選定療養費)」を徴収することとしています。
この制度は、「紹介受診重点医療機関」などに対象病院を拡大するとともに、「特別の料金(選定療養費)」の額を引き上げています。

医療機関を受診する際は、医療機関の機能・役割に応じた適切な受診を心がけましょう。

なぜ「特別の料金(特定療養費)」が必要?

日本の医療体制は、軽症や日常的な病気の治療は診療所やクリニック、救急や重い病気の治療は大病院という「医療機関の機能分化」を目指しています。各々の医療機関が互いに連携しながら、それぞれの特徴を生かすことで、質が高く効率的な医療を実現できます。
しかし実際は、初診時に紹介状を持たない患者…初診から大病院を訪れる患者が大病院の外来患者の大きな割合を占めています。こうした実態は、医療スタッフに重い負担を課し、患者にとっても病院での待ち時間が長くなる、診察時間が短いなどのデメリットが生じています。

現状の課題解決の方策の1つとして、平成27年(2015年)5月に成立した医療保険制度改革法により、特別の料金を徴収することになりました。これにより紹介状なしで大病院を受診した場合、病状が安定して診療所や他の病院を受診するよう大病院から紹介状が交付されたのに大病院を再診した場合は、「特別の料金」の支払いが必要になります。
医療機関の役割分担を促すことで、限られた人財・設備を有効に活用し、大病院などの機能強化を図っていくとしています。

医療機関が連携して行う「医療機関の機能分化」
医療機関が連携して行う「医療機関の機能分化」

「特別の料金(選定療養費)」が必要な病院は?

初診時(再診時)に「特別の料金」がかかる医療機関は、「特定機能病院」「一般病床が200床以上ある地域医療支援病院」「一般病床が200床以上ある紹介受診重点医療機関」です。紹介受診重点医療機関は、昨年より指定が始まり、新たに「特別の料金」徴収の対象となった医療機関もあります。平成4年より「特別の料金」も改定されました。

特別の料金(定額負担)の金額および徴収開始時期は、医療機関によって異なります。詳細は、医療機関へ直接お問い合わせください。

「特別の料金(選定療養費)」について
「特別の料金」の対象となる病院
  • 特定機能病院
  • 一般病床200床以上の地域医療支援病院
  • 一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関
「特別の料金」の対象となる患者申込期限 初診 他の医療機関からの紹介状なしで受診する患者
再診 病院から、他の医療機関への紹介状を交付されたにもかかわらず、当院を受診する患者
「特別の料金」 初診 医科 5,000円以上 → 7,000円以上
歯科 3,000円以上 → 5,000円以上
再診 医科 2,500円以上 → 3,000円以上
歯科 1,500円以上 → 1,900円以上

※新たに紹介受診重点医療機関となった医療機関は、指定されてから6カ月の経過措置が設けられています。経過措置後は紹介受診重点医療機関として、受診時には改定後の「特別の料金(選定療養費)」が必要になります。
2023年夏から10月にかけて、全47都道府県が紹介受診重点医療機関を公表。8月に指定された医療機関は、今年2月1日より改定後の「特別の料金(選定療養費)」となっています。

※「特別の料金」の額には、消費税分が含まれます。消費税分を含めて、対象病院は上記の額以上の「特別の料金」を徴収します。

※救急の患者などについては、医療機関は「特別の料金」を求めてはならないことしています。また、自施設の他の診療科から院内紹介されて受診する患者などについても「特別の料金」を求めなくてもよいとしています。
その他にも、大病院受診時の特別の料金がかからないケースがあります。詳しくは、下記サイトよりご確認ください。

紹介受診重点医療機関とはどんな病院?

紹介受診重点医療機関とは、かかりつけ医などからの紹介状を持って受診することに重点をおいた医療機関のこと。手術・処置や化学療法などを必要とする外来、放射線治療など高額な医療機器・設備を必要とする外来診療などを行っています。

厚生労働省が定めたガイドラインでは、医療法(昭和23年法律第205号)に基づき、医療機関から報告された外来機能報告を踏まえて、地域において協議を実施。医療機関の意向と、協議の場における結論が一致した医療機関を各都道府県から、紹介受診重点医療機関として昨年から公表しています。

紹介状の有無にかかわらず受診は可能ですが、紹介状がなく来院された場合は、一部負担金(3割負担など)とは別に、「特別の料金(選定療養費)」が原則必要となります。

「かかりつけ医」を持ちましょう。

「かかりつけ医」とは、健康に関することを相談でき、必要な時には専門的な医療機関などを紹介してくれる、身近な地域医療の医師のことです。身近で頼りになるかかりつけ医を持つことは、自分の健康を維持・増進するために大切なことです。風邪などの日常的で緊急性のない病気の場合、まずは「かかりつけ医」を受診しましょう。かかりつけ医を受診後、専門的な検査や治療が必要と判断された場合には、「紹介受診重点医療機関」などを受診するための紹介状が発行されます。
状態が落ち着いたら、紹介受診重点医療機関などから逆紹介を受けて、地域の「かかりつけ医」に戻りましょう。

突然の重病や重傷など、緊急性が高い場合や高度な治療が必要と思われる場合は、かかりつけ医にこだわることはありません。