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2024年03月06日

花粉症対策 2024

今年も、スギ・ヒノキ科の花粉が飛散する時期になりました。
日本気象協会(2024年2月21日発表)によれば、今年は暖冬に加え季節外れの暖かさが影響し、飛散開始は例年より早くなった地域が多かったようです。スギ花粉のピークは多くの所で3月上旬から中旬、ヒノキ花粉は3月下旬からピークを迎えるとしています。
花粉症を患う方にはつらい期間ですが、花粉の飛散量に応じて対策・治療を心がけ、症状の悪化を防ぎましょう。

花粉症はなぜ発症する?

ある学会の調査によれば、調査対象の42%以上が花粉症だったとされ、花粉症は日本で最も多いアレルギー疾患です。現在も患者数は増加し続けており、発症年齢、重症度、治療の有効性などは個々人によって大きく異なります。花粉症はどのような仕組みで発症するのでしょうか。
人の身体の中に花粉(抗原)が入ると、花粉に対する抗体が作られます(抗体産生)。個人差はありますが、長い期間に花粉をくり返し浴び、抗体の量が増加すると、くしゃみや鼻水、目のかゆみや涙目などの花粉症の症状が出現するようになります。

花粉症の原因となる花粉の種類はいろいろありますが、もっとも多いとされるスギ花粉は、2~4月ころに飛散します。昼前後と夕方に多く飛散し、「晴れて気温が高い日」「空気が乾燥して風が強い日」「雨上がりの翌日」は、特に多くなります。

花粉症対策の3本柱

多くの人たちを悩ませ続けている花粉症は、社会問題にもなっています。そこで政府は、さまざまな対策を組み合わせて実行。今後10年を視野に入れた施策も含めて、花粉症という社会問題を解決するための3つの道筋を示しています。

発生源をなくしていく対策

スギ人工林の伐採・植替えなどを加速化し、10年後には花粉発生源となるスギ人工林の約2割減少を目指しています。また、花粉の少ないスギ苗木の生産を拡大するなど、将来的(約30年後)には花粉発生量の半減を目標としています。

環境省・厚生労働省「花粉症対策」(2024年1月)

(出典) 環境省・厚生労働省「花粉症対策」(2024年1月)より

花粉飛散への対策

精密なデータを民間事業者に提供し、民間事業者の予測精度向上を支援。花粉症患者への情報提供を、より良い内容としていきます。さらに効果的・効率的な散布技術の開発、薬剤の改良を進め、スギ花粉の飛散防止剤の開発を促進し、5年後に実用化の目処を立てます。

発症・花粉を浴びることを予防する対策

治療については、診療ガイドライン改訂や対症療法などの医療・相談体制に関する整備を推進していきます。
花粉にさらされる機会を軽減するための花粉症予防行動については、自治体、関係学会などと連携して広く内容を周知。同時に、企業などによる従業員の花粉曝露対策を推進する仕組みの整備を目指します。

治療について

毎年花粉症の症状が出る方は、本格的な花粉飛散開始前までにお薬を準備し、使用を開始するのがよいとされています。飛散開始時期や症状がごく軽いときからお薬を使用することで、症状を抑えられることが分かっています。
これまで花粉症と診断されていなくても、くしゃみなどの花粉症と思われる症状が出た方は、早めに医療機関で花粉症かどうか診断を受けましょう。

自分でできる花粉対策

医療機関での診療以外に、日々の暮らしのなかで実施できる予防策があります。花粉を室内に持ち込まないように、工夫しましょう。

●花粉情報をうまく利用

まず、花粉が飛散しはじめる時期に注意しましょう。花粉症は花粉が飛散する2週間ほど前から、抗アレルギー薬を飲む予防的治療が効果的とされています。
また、花粉飛散量が多いと予測される日は、外出を控えましょう。

●外出時には花粉を体につけない工夫を実施

マスクを着用して湿らせたガーゼをマスクにはさむと、さらに効果が高くなります。
眼鏡をかける、つばの広い帽子をかぶる、長い髪はまとめるようにしましょう。スカーフで首をガードするなど、肌を露出させないようにします。外側に着る服は、花粉が付着しにくいすべすべした素材のものを選びましょう。

●室内に花粉を持ち込まない

家に入る前に、髪や服についた花粉をブラシなどでよくはたきます。帰宅後はすぐに顔・目・鼻を洗う、うがいをする、化粧をおとすなどを実施します。空気清浄機を利用し、室内をこまめに掃除しましょう。

●花粉に対抗できる身体づくり

タバコやアルコールは、症状を悪化させる場合があるため、できるだけ控えましょう。カゼや過労、睡眠不足、不規則な生活や心身のストレスでも症状が悪化します。運動で体力をつくってストレスを発散し、バランスのよい食事を心がけましょう。