けんぽニュース&お知らせ
2024年06月28日
夏の疲労回復は睡眠がポイントです。
今年も、暑い日が続いています。なかなか寝付けず、体調不良を感じる方も多いのではないのでしょうか。
日々の疲れをとるためには、質のよい睡眠を確保することが大切です。
しっかり眠って、暑い夏を乗り切りましょう。
夏によく眠れないのはなぜ?
暑さで寝苦しい夜を過ごした翌朝は、体のだるさを感じることもあります。夏によく眠れないのは、主に以下のような要因があります。
夏は睡眠時間が短くなりがち
睡眠時間は、季節によって変化します。睡眠時間が日照時間と関係しているためで、夏は冬に比べて睡眠時間が短くなるとされています。
暑い夜が熟睡を難しくする
本来身体は、睡眠中に深部体温(脳や内臓の温度)を下げて脳や体を休ませ、朝の起床に向かって徐々に深部体温を上げる仕組みになっています。でも、熱帯夜では深部体温が十分に下がらず、途中で目が覚めてしまったり、眠りが浅くなったりするとされています。
寝具にも原因の一端
人と寝具の間の空間における、温度と湿度を寝床内気候といいます。快適な範囲は温度32~34℃、相対湿度40~60%とされます。しかし夏は汗で、寝床内温度が上昇。睡眠を妨げます。
睡眠不足が影響するリスクとは?
睡眠不足になると、日中に眠気に悩まされるだけでなく、さまざまな不調の原因になります。
10時間たっぷり眠った日と比べて、たった2日ほど寝不足(4時間睡眠)になっただけで、食欲を高めるホルモンが増加し、食欲が増大することが分かっています。ごくわずかの寝不足でも、身体には影響が表れます。
こうした状況が長引き、睡眠習慣が乱れて慢性的な睡眠不足や睡眠障害となると、さらに深刻なリスクの可能性が出てきます。
1. 熱中症の危険性が上昇
熱中症は日中の気象環境や行動だけでなく、前日の夜間平均気温や睡眠状況が関係していることが分かってきました。睡眠不足によって体のリズムが乱れると、体温調節機能がうまく働かなくなり、熱中症を発症しやすくなります。
2. 生活習慣病や肥満のリスクがアップ
慢性的な睡眠不足や不眠症は、生活習慣病のリスクを高めるとされています。高血圧や糖尿病などとの関連性が指摘されています。また、睡眠時間が少ないと、肥満のリスクが増大することも報告されています。
3. うつ病などの発症や認知機能に影響も
睡眠の量と質は、認知機能や心の健康づくりにも重要な要素です。睡眠時間が少なくなるほど、認知機能は低下。同時にストレス耐性を低下させ、不安やうつなどメンタルヘルスを悪化させる場合があります。
4. 事故・エラーなどのリスクが上がる
睡眠不足や睡眠障害があると、疲労感、眠気、意欲減退などから、集中力が続かず作業能率も低下。仕事などで、ミスや事故を招きやすくなります。
不眠・睡眠不足と生活習慣病との悪循環
あなたのその眠気、睡眠時無呼吸症候群かも? 悪循環を治療で止めよう
睡眠時無呼吸症候群の解説とその代表的な治療法であるCPAP療法についてご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome・SAS)とは睡眠時に無呼吸あるいは低呼吸を繰り返すために睡眠が障害される病気です。
適切な治療せずにいると、良質な睡眠がとれず、交通事故や日中の仕事のパフォーマンス低下などにつながるなど、日常生活に様々な支障をきたすことが明らかになっています。
また、SASと生活習慣病は合併しやすく、心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった生命に関わる合併症のリスクを高めることが指摘されています。
2019年の医学誌Lancet Respir Med.の報告では、現在、日本のSAS潜在患者は940万人と試算されており、症状に気付かないまま悪化させていくSAS潜在患者はますます増えていくと言われています。 2)
主な症状 -みなさん、こんな症状はありませんか?-
睡眠時無呼吸症候群の主な症状をご紹介します。
自覚症状の感じ方や程度には個人差があるので、寝ている間のことについてぜひご家族やパートナーにきいてみてください。
このような症状に心当たりがある場合は、かかりつけ医の先生に相談しましょう。
CPAP療法について
睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法のひとつが持続陽圧呼吸療法・CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure)です。
CPAP療法は、装着したマスクから送り込んだ空気の圧で気道を広げ無呼吸の状態を防止する治療法です。
進化する「CPAP」
これまで、CPAPメーカー各社からさまざまなCPAP装置が提供されてきました。
据え置き型やポータブル型など、それぞれの患者のニーズに合わせた装置があります。
また、小型化や通信機能の追加など、年々進化を遂げています。
海外メーカー品が主流でしたが、国産のCPAPもでてきました。
上記のような睡眠時無呼吸症候群の症状に心当たりがある方は、かかりつけ医に問い合わせください。
睡眠時無呼吸症候群の解説記事の監修
奈良県立医科大学 医学部看護学科 臨床病態医学講座 教授/奈良県立医科大学附属病院
呼吸器・アレルギー内科
山内 基雄 (やまうち もとお) 先生
質のよい睡眠をとるためには
質の良い睡眠をとるために重要なのは「眠り始めの90分」です。
人は眠りに落ちてから目覚めるまでずっと同じように眠っているわけではありません。眠りにはレム睡眠(脳は起きていて、身体が眠っている睡眠)と、ノンレム睡眠(脳も身体も眠っている睡眠)の2種類があり、それを繰り返しながら眠っています。寝ついた後、すぐに訪れるのはノンレム睡眠です。この最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でもっとも深い眠りです。ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うといわれています。
快眠リズムをつくるポイント
入浴は就寝の90分前までに
人は、深部体温が低下すると入眠します。そのため就寝90分ぐらい前までに入浴をすませておけば、就寝時には深部体温も下がり、入眠しやすくなります。ぬるめのお湯(40℃程度)は、リラックス効果もあります。
睡眠環境を整える
夏の最適室温は25℃~26℃で、最適湿度は50~60%といわれています。エアコンをタイマー設定で使用する場合は、眠り始めの4時間程度使用するのが効果的です。寝具も、冷却性や透湿性のあるものを選び、暑さを軽減しましょう。
寝室の光に注意
一般的な部屋の照明環境にいると、メラトニンという眠気や睡眠を維持するホルモンが分泌されにくくなり、覚醒度が上昇します。また、スマートフォンやOA機器から照射されるブルーライトも、覚醒刺激を与えます。寝室の照明は就寝1時間ほど前からやや暗くし、就寝30分ほど前にはスマートフォンの操作は控えましょう。
子どもの睡眠習慣を考える
子どもの心身の健全な発達には、良好な睡眠は欠かせません。子どもの睡眠は、脳の発達と密接に関連しており、とても重要です。
夏休みは生活習慣の変化で、睡眠習慣も乱れがちです。保護者が子どもの状態を確認し、より良く眠れるように環境を整えましょう。
【子どものためのより良い睡眠ポイント】
- 保護者の睡眠習慣
子どもの睡眠習慣は、保護者の睡眠習慣に影響を受けます。 子どもが保護者の睡眠習慣に左右されないように、年齢に応じた睡眠時間を確保しましょう。
- 保護者の情報通信機器使用
保護者の情報通信機器使用は子どもの使用につながり、睡眠にも影響します。保護者ご自身が情報通信機器の使用時間帯など、状況をチェックしましょう。
- 光と情報通信機器使用
光は睡眠と覚醒のリズムに影響を及ぼします、寝床につく前は、明るい光を浴びないよう注意しましょう。
- 昼寝と夜間の睡眠
昼寝は、子どもの成長につれて必要度が低下します。必要以上に長い昼寝は、夜の睡眠を妨げるので注意しましょう。
- 睡眠の病気
子どもの睡眠中の異常は、睡眠の病気(睡眠障害)の可能性もあります。気になる症状があれば、かかりつけ医や専門家に相談しましょう。